神経幹細胞だけに絞ったアメリカ合衆国のベンチャー企業がニューラルステム社で、さいきんはうつ病の治療薬にも参入しているんですね。

 

うつ病

 

そもそもニューラルステム社が進めている治療は、神経幹細胞をつかったもの。
脳卒中、脊髄損傷、ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis(筋萎縮性側索硬化症略称):重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患)などの治験を進めています。

 

そしてニューラルステム社が、多くの化合物の中から神経幹細胞の特異的増殖を誘導する化合物、「NSI―189」を開発しました。

 

 

このにNSI―189の対象としてターゲットにしたのが、うつ病でした。。
それもうつ(鬱)病の中でも大うつ(鬱)病と呼ばれる重症のうつ(鬱)病です。

 

もちろん患者さんに投与した時のNSI-189安全性、効果を得るための用量を調べた1b相の治験を行い、結果もがMolecular Psychiatryオンラン版に掲載されました。
※(神経増殖性化合物NSI-189のうつ(鬱)病患者を対象にした2重盲検無作為化1b相治験)

 

 

この研究では、あらかじめ設定した条件にあった症状の重いうつ(鬱)病(大うつ(鬱)病)の患者24人が対象しています。

けんじゅ無作為化・2重盲検法に従って、1日1錠(40mg)、2錠(80mg)、3錠(120mg)、そしてコントロール(対象)群に割り振り、28日間服薬を続けた後の自覚的、他覚的状態をMontogomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS:モントゴメリー/アスベルグうつ(鬱)病評価尺度)、 CGI−S(Clinical Global Impressions-Severity) improvement scale(臨床全般印象評価尺度−重症度)、 SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)、MGH―CPFQ(Massachusetts General Hospital- Cognitive and Physical Functioning. Questionnaire)などの指標を用いて調べるとともに、海馬や扁桃体のサイズをMRI(magnetic resonance imaging:核磁気共鳴画像法)で測定しています。

 

 

そもそもなぜ「神経幹細胞の増殖を誘導する薬剤がどうしてうつ(鬱)病?」と思うかもしれません。
これには最近の研究結果が影響しています。

 

うつ(鬱)病患者の場合海馬や扁桃体が小さい傾向が見られたんですね。
そこから鬱病の原因の一つが、神経幹細胞の増殖性が低下するからではないか?という仮説が出ているんです。

 

 

そこでNSI―189はまさにこの脳幹細胞の増殖性低下を改善させることで、うつ(鬱)病の治療という可能性を追求したようです。これまでの抗うつ(鬱)剤とは全く治療のコンセプトなんですね。

 

うつ病治療で決定的な薬はできていません。
今までも抗うつ(鬱)剤が開発されては消えていっていますね。

 

 

今までの薬剤は、神経の活動を調節するものがほとんどです。
セロトニン(serotonin)の再吸収を阻害して効果を高めたり、抗コリン作用(アセチルコリンが、アセチルコリン受容体に結合するのを阻害する作用のこと)を使って症状を抑えようとしていました。

 

 

つまりこれまでのうつ(鬱)剤は、症状改善はできても、長期的効果は認められていません。
しかしNSI―189は神経幹細胞の増殖を狙った全く新しい薬剤であることから、根治療法薬として期待されているんです。

 

コロナうつなども心配されていますが、そもそも投薬での治療が絶望的な状況です。 このNSI―189によって効果が続く抗うつ薬が誕生するかもしれませんね。